働き方改革という言葉が定着してきた2019年6月、こんな記事が世間を騒がせている。
「育休復帰、即転勤で炎上」 カネカ元社員と妻を直撃【日経ビジネス】
「カガクでネガイをカナえる会社」のCMでおなじみの大手企業の炎上に驚かれた方も少なくないだろう。
一連の流れをザックリまとめると
・夫がカネカ勤務の40代共働きの夫婦。今年1月に生まれた長女のためそれぞれ育児休暇を取得。
・夫が復帰したのは4月22日、翌日の23日に上司から関西への転勤を命じられる。
・夫は「組織に属している以上、転勤は当然だが、今のタイミングは難しいので1〜2カ月延ばしてもらえないか」と相談するも会社側は却下。有給休暇の申請も却下され、夫は泣く泣く5月31日付で退社。
・退職後の6月1日 妻が一連の流れをTwitterで投稿すると一瞬で拡散。
・カネカ側は「ハラスメントには当たらない」とコメント、絶賛炎上中(←今ココ)
同社は、子育て支援の取り組みに対して厚生労働省が認めたくるみん認定を受けている。
化学メーカー大手でホワイト企業とも言われてきた同社だが、ここにきてその実態が明るみに出てしまった。
実は管理人はくるみん認定を受けている某金融機関に勤めている30代後半、2人の男児の父であるが、この話は他人事とは思えない。残念ながらもっとひどいパワハラ・マタハラを間近で見てきた。
特に大企業に勤めてる方は、きらびやかな外観と過酷な実態とのギャップに共感してくれる方もいることだろう。
くるみんマークなんてタダのおもちゃの飾りだよ!
そんな主張を世の中に投げかけてみる。
某銀行の実態 男性の育休取得率は1%台
最近は、男性も育児休暇を取得しようという流れがどんどん増えてきている。
ところが、僕の勤めている職場では育児休暇を取得したという話はほぼ聞いたことがない。
資料をみたが、取得率は1%台だった。
本部の連中が何人か、対マスコミへのホワイト企業アピールで取っていたね。
なんせ、育休を取得できる環境にない。
育休を取得してもノルマは減らない。
銀行オワコン説を肌で感じてるせいか職員が辞めていく。
田舎銀行だと中途採用しても人が来ない、派遣社員募集しても人が来ない。
というわけで休んでも代わりに仕事してくれる人がいない。
僕は「会社の空気を一秒でも長く吸っていたら負け」という人間なので、空気を読まずに早く退社することが多々あるのだが、それでも育児休暇を取得しずらい雰囲気が流れている。
銀行のマタハラの実態
Aさんは35歳の女子行員。
1人目の子どもを6年前に出産。一度職場に復帰後、2人目と3人目を立て続けに出産。
約3年ぶりの現場復帰となった。
彼女は今でずっと預金係や融資係として内部で支店の業務を支えてきた中堅だ。
復帰後も当然、同様の職務に就くと思っていた。
ところが……
なんとAさんは、今まで経験したことがない渉外係(外回り)に配属された。
なんやこれは? 嫌がらせやろ……
3年ぶりの復帰という慣れない環境と不安の中、しかも今までのキャリアを無視された全く新しい職種。
しかも銀行の外回りというのはお客さんに時間を合わせるので、夜に顧客を訪問をしなければならない場合も。
Aさんは、ご主人や近くに住むお母さんの力を借りながら必死に時間をやりくりして、今もなんとか頑張っている。
悲劇 過酷な労働環境で流産する女性行員も
基本社内ルールでは妊婦は残業禁止となっている。(法律上は妊婦から「請求があれば」残業は禁止)
が、管理職が無知すぎるのと、現場がカツカツなせいでルール違反が横行している。
女性の派閥争いが強い支店に配属されると、イジメに遭うケースも。
もはや弱肉強食の世界。
昔の方がまだ余裕があったね。
僕も善人ではないので、若い時は「あー、なんで〇〇さんは早く帰るの? 結局この仕事やるのワシやん……」って思ってましたよ心の中で(さすがに口には出さないけど)。
もちろん、流産の原因は色々なのだろうが、せっかく子どもを授かったのに体調崩して入院して、悲しくも流産。
「こりゃあきらかに労働環境のせいやろ……」
って例も何件か見てきたよ。
ほんとにタフじゃないと、銀行では生きていけない。
採用ホームページって詐欺じゃね?
「女性も活躍できる職場です!」
「余暇も充実! もちろん仕事と家庭の両立も! ワークライフバランスを推進しています」
キラキラ輝いている女性や男性行員の写真の上にそんな見出しが踊る。
いや……まあね(多くは語らないでおきます)。
うちの支店にも20代の若い女性職員がいるんだけど、この子がもし結婚、そして妊娠した時ちゃんと望むように働けるんだろうか? 時々そんなことを思う。
世の中の風向きは変わってきている
とまあ、つらつらと胸クソ悪いことを書いてしまったが、最後は希望を持ってこの記事を締めたいと思う。(もちろん、職場や金融機関によって実態は異なると思います。就活生は絶望したらアカンで 笑)
今年に入ってから業界最大手の三菱UFJ銀行が、2歳未満の子を育てる男性行員全員に1ヶ月の育児休暇の取得を義務付けた。
自民党の有志議員が男性の育児休暇取得を義務付ける議員連盟を発足させて話題になった。
上から強制されないとやらないんですね日本人は(笑)。
個人的にはいい流れだなと思う。
世の中を変えるには荒療治が必要なのだ。
今やSNSで声を上げれば、世論を動かすことも可能な時代になってきた。
そして社会の流れについていけない企業は、淘汰されてしかるべきなのである。
というわけで淘汰された暁には、僕は晴れて無職になるわけですな\(^o^)/
カネカの炎上は他人事ではない。個人でもできることを少しずつやっていけたらと思う。
*登場人物のプライバシーを守るため、一部話をボカしている場合があります。物語仕立ての体験談という風にお読みいただければと思います。