業界のウラ話

銀行員と出向 ~現代の人身売買!?金融エリート達の悲喜こもごも~

大好評、銀行員のウラ話シリーズ。

今回は銀行員の出向についてお話します。

世間ではエリート(笑)といわれる銀行員。
その銀行員が何よりも怖れるのは、人事

ドラマ『半沢直樹』でも、主人公半沢の仲の良い同期が出向をちらつかされて脅されたりとどちらかと言うとネガティブなイメージ。

その実態やいかに?
僕が見てきた例をお話します。

やや話をボカしている箇所もありますが、読み物としてお楽しみいただければと思います。



銀行員に出向はつきもの?

出向と転籍

出向……元の企業との雇用契約はそのままに、別の企業へ異動すること。

給料は元の会社(今回の場合は銀行)から支払われますが、現場での仕事は異動先の企業の指示に従って行います。

転籍……元の企業との雇用契約は終了となり、新たに転籍先の会社で雇用関係を結びます。実質転職と一緒。

サッカーで例えると、出向はレンタル移籍や期限付き移籍、転籍は完全移籍。
といった感じでしょうか。

また、半沢直樹シリーズの描写でもありましたが、出向したあと1・2年で転籍、なんてのもあります。

転籍はいわゆる片道切符というやつですね。元の銀行には戻れません。

銀行員と出向

銀行は他の会社に比べて出向が多い業界だと言えます。

厳しい銀行だと40歳後半から50歳にかけて、役員になれなかったらあとは出向しかない
なんて所もあります。

最近の流れとしては、出世できなかったらあとは片道切符でいってらっしゃいというよりは、調査役とか専任役とか適当な肩書を用意して銀行に残らせるというパターンの方が多い気がします。

銀行側のメリット
・出世ポストを用意しなくて済む。
・転籍すれば人件費も削減できる

受け入れる企業側のメリット
・金融知識や財務に明るい人材を確保できる
・銀行との取引が密になる

エリートな出向

左遷というか、なんとなく薄暗いイメージのある出向ですが、エリートコースと呼ばれるような出向もあります。

例えばグループ内の証券会社や、財務省などの役所、結びつきの強い大企業への期限付きの出向がそれに当たります。

今後のキャリアアップのために男を磨いてこい、ってヤツですね。

20代後半から30代までの油の乗った時期に行かされるパターンが多いです。

いずれ銀行に戻ってくるので、当然ながら往復切符。

戻ってきたあとは、だいたい良いポストが約束されてます

う、うらやましくなんか……ないんだからね(場末の銀行員の心の叫び声)

余生を過ごすための出向

なんとなく悲壮感が漂うのがコチラの出向。

銀行って、支店長から上は行員がいる割にポストが少ないんですわ。

だいたい40代後半から50歳前半にかけて、いってらっしゃいとなります。

コチラは片道切符。おおむね1.2年ほどで完全移籍になります。

今まで支店長としてバリバリやっていた人が定例の人事異動で「株式会社〇〇へ出向を命ず」なんて辞令がでると、マジでガックシとなります。

それを側で見ている部下は「ヘッヘッヘッ、コイツざまあみろ!」とか……思ったり思わなかったり(笑)

バブル後の貸し剥がし、出向・転籍先企業でも容赦なし

バブル崩壊後、旧大蔵省は「とにかく銀行の不良債権を減らせ、回収しろ」との政策を推し進めてきました。

貸し渋り、そして貸し剥がし、それは今まで銀行員の出向や転籍を受け入れてくれていた取引先も例外ではありませんでした。

僕が入行したのは、すでに不良債権の処理はおおむね完了していた2000年台の後半。

それ以前には、実際に転籍先共々見捨てられた元銀行員もいたようです。

銀行からの融資打ち切りは企業にとっても死活問題。そのまままっしぐらに倒産するか、もし何らかの方法で息を吹き返したとしても、きっと元銀行員は会社に居づらかったでしょうね。

ホワイトな出向

ややネガティブなイメージがある出向ですが、ホワイトな出向もあります。

出向先が地元の優良企業で、財務課長あたりのポストを用意してくれて、銀行の激しい出世競争やノルマ獲得から逃れてのんびり

たまーにそんな事例もあります。

最初は「オレも夢破れて出向かあ……」なんて落ち込んでいても、コチラの方が労働環境もいいし、肌ツヤや健康状態もよくなってきた。
定年までこのまま出向・転籍先の会社でお世話になるよ。

そんな先輩達も何人か知ってます。

これも羨ましい話ですね(普段のノルマがきつくて白目)

現代の人身売買!? ブラックな出向

最近ちょいちょい聞くのが、ブラックな出向

成長企業は人手が足りない。
「銀行ともっと取引してあげるから、人を貸してよ」

そんな具合に取引先から打診される場合もあります。
銀行もイケイケの企業とはもっと取引を密にしたいので、「はい、わかりました! じゃあ1人派遣しますわ」ってな感じで。

イケイケの会社で経営者が一代で築き上げたワンマン社長だったりすると、長時間労働、休日出勤がデフォルト設定のブラック企業なパターンも。

このパターンは往復切符なので、2.3年で帰れるパターンがほとんど。
銀行に戻ったあともそれ相応のポストが約束されているはずなのですが……

こないだ見たT先輩、顔がゲッソリやつれていたよな……大丈夫かな。

出世する前にブラックな出向元で体を壊してしまっては、元も子もないですよね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最近はトヨタ自動車の社長の「終身雇用を守っていくのは難しい局面」発言も話題になりました。

令和の時代になって、働くサラリーマンのキャリアはさらに変換期を迎えようとしています。

銀行ももちろん例外ではありません。
我々も、働くということについてもっと考えていかないといけませんね。

銀行員のウラ話シリーズはコチラもどうぞ ↓




ABOUT ME
うたの @ゲスな銀行員
うたの @ゲスな銀行員
銀行はオワコンだとぉ!? 借りる・貯める・増やす 身の回りのお金の話、銀行のウラ側をホンネダダ漏れでお届け 某弱小バンクで3期連続表彰 ➡︎ うつで2ヶ月休職 ➡︎ 復帰後は6時に退社して家族&趣味も楽しく!/ 息子5歳と0歳 / 30代後半 関西在住